バッグマメ知識

1. 革の製法と特徴

革(なめした皮)といってもその製法は様々に変化しています。 古くから西欧で培われた方法による植物タンニンなめし、クローム、両方を組み合わせた物、等。 それから染色方法も、天然染料、化学染料によるもの、人工顔料塗装、それらを組み合わせた物、パテントレザー(エナメル)、最近ではカウ・ハイドを表皮層と床層にスライスし、その床層の上に合皮のフィルムを張り付けた(スプリットレザー)など、特徴やお手入れ方法などもそれぞれに対応する必要があります。 ここでは大まかに、フルグレイン・レザー、パテント・スプリットタイプのレザー、メタリックタイプなど弊社で通常使用している皮革についての特徴とお手入れの注意点をご紹介します。

2. お手入れの方法・注意点

● フルグレイン・染料染めのナチュラルなタイプの革の特徴とお手入れ方法(OL)
革本来の風合いを最大限活かした製法です。地傷(もともとある表皮の傷、血筋、焼印等)が、染料染めの特徴である透明感のある色合いのため完全には隠れず、また色むら等も微妙に目立ち、ややカジュアルな印象です。お手入れ方法は皮革専用の水性クリーナーや保湿用のデリケートクリーム等が有効です。若干の傷やムラは霧吹き等で水分を与えると目立たなくなる傾向があります。薄い色ですと油分や水分で色が濃くなる場合がありますが、乾燥させたままよりは革に負担がかからない状態とお考えください。基本的に人の肌のお手入れ方法と一緒です。 ベンジン・アルコール等は色が落ちるので使用しないように。

● フルグレイン・顔料染めタイプの革の特徴とお手入れ方法
上記とほぼ一緒ですが、顔料で覆われている分傷やむら、色落ちは少なく多少の水濡れにも強い特徴があります。適度な保革油等の使用で持ちもよくなります。汚れは早めに水性クリーナーで除去しましょう。 ベンジン・アルコールは顔料を溶かしてしまうので使用しないように。また、香水やオードトワレにもアルコールが入っているので吹きかけるのはおすすめしません。

● パテントレザー(エナメル)タイプの革の特徴とお手入れ方法(E/EL)
表皮は人工的なフィルムで覆われており、ムラ、地傷はほぼありません。つるつるのエレガントな印象です。水濡れにも強く色落ちもしません。通常の汚れは水性クリーナーや中性洗剤を含ませた布でふき取ります。 手あとが目立つ場合は眼鏡用のレンズ拭き(マイクロファイバークロス)が便利です。フィルムの表皮は薄い色ですとインクや染料(デニム等)の色が移行する場合があります。こうなると厄介なので予めバッグと同系色の服を着るとか、保管する際も無色の布袋に入れて下さい。新聞紙にくるんだり、じかにビニール袋等には絶対に入れないこと!(融着します)保革油は必要ありません。 ベンジン・アルコール等は使用しないように。

● スプリットタイプの革の特徴とお手入れ方法(S)
エナメルタイプ同様人工的なフィルムで覆われているタイプです。薄い色の場合は稀に色が移行する場合がありますがエナメルタイプほどデリケートではありません。汚れは水性クリーナーで除去します。保革油は必要ありません。ベンジン・アルコール等は使用しないように。表皮のフィルムは残念ながらフルグレインよりも寿命は短く、通常3~5年で劣化が見られます。その分価格は抑えられています。

● メタリック(ラム)革の特徴とお手入れ方法(LA)
革の表皮はメタリックの箔フィルムで覆われて、爪あとや傷は大敵です。ミンクオイルなどで滑りを良くして低温のアイロンで押さえると目立たなくなりますが(当て布はしません)、多少技術を要します。箔がはがれたら寿命です。

● ポニー・ヘアカーフ等ハラコタイプの革の特徴とお手入れ方法(PH)
短い毛皮の特徴は、水濡れに強くお手入れが比較的楽なことです。しかしながら時間と共に摩耗し毛は抜けます。逆毛はブラシやアイロンで寝かして下さい。たまにミンクオイルを布にとってやさしく拭いて保湿してあげると持ちは良くなります。

● その他の使用上のご注意
・稀に製造時に使用するゴムのりが表面に付着している場合がございますが、柔らかい消しゴムや指の腹でやさしく擦りますときれいにはがれます。
・金具保護のためのシールはご使用前にはがして下さい。長期間そのままにしておりますとかえって汚れや変色の原因となります。
・マグネット部分に磁気カード、定期や通帳などを近づけますと効力が損なわれる場合がございますので充分ご注意くださいますよう。

3. バッグを長持ちさせるコツ

バッグがいたむのは意外に保管中のことが多いようです。保管袋に入れっぱなし、高温多湿と低温乾燥の繰り返しで古くなった油分が分離してしまった状態、かび、等。革は適度に使う方が良いのです。触ることで手の油分での保湿やマッサージ効果が期待でき、風にあたることで適当な湿度を自然に保つことになります。革の内部の繊維と油分が均質になり柔らかさも増します。いわゆるエイジングというのは使用することによる良い意味での変化を言います。使用しなければ革はいたみます。

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バッグの疑問

オリジナル商品を作りたいのですが、どうすれば出来ますか?

誰もが憧れるお店のオリジナル商品の製作も承ります。既製品にない、独自のアイデアがあればきっと成功します。ラフスケッチや見本になる物など資料を揃えて頂ければ、デザインからご提案いたします。

失敗しないバッグ選びのポイントを教えて下さい。

バッグ選びは楽しいものですが、つい見た目だけで選んでしまい、結局使いづらくてお蔵入り、なんて経験はだれしもあるものです。開発の際にも、色々と使い回しができる多用途型のデザインと、ビジネス等シーン毎に特化して開発する場合があります。まず用途に合わせたサイズを選び、ご自分の個性やファッションに合うか、実際に鏡の前で持ってみてください。それから、素材についてですが、色落ちが心配なら、お店の人にチェックしてもらいましょう。革は最初は少ししっかり目の物の方がベターです。軽いからといって薄すぎる場合は、その分強度が落ち、使ううちに伸びたり、切れてしまいます。長く使いたいならやや重めの革が良いのです。裏地についてですが、合皮タイプよりはナイロン布地の方がもちは良いです。綿でもよいですがほつれる場合もあるので、要チェックです。それから、ファスナーなどがスムーズかどうかも見て下さい。

パテントレザーの扱い方など教えて下さい?

パテントレザー(エナメルタイプ)の革は通常の表皮の上に薄いビニールフィルムが張り付けてあるようなものです。水濡れや傷には案外強いのですが、薄い色ですとインクや染料の色が移行しやすい欠点があります。詳しくはマメ知識の項でご説明しております。

どうしてバッグの値段ってピンキリなの?

ブランド品は確かに高すぎますよね。同じ材料で同じように作るだけなら、半額ぐらいで出来そうです。でも、広告費やデザインなど多くの人件費や販売経費がかかることもあり、ステイタスにお金はかかるのでしょうね。バッグの要は素材です。有名ブランドやどこの国で作られたかを気にするよりは、良い材料かどうかで割安かそうでないかを判断したいところです。しっとりとした手触りや、上品なオイルの匂いがする革は有名ブランドでなくとも手に入ります。

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